第11回感動写真ゼミナール  資料

制作 有限会社松尾カメラ

           寺島 秀則

テーマ:露出の決め方について学ぼう「適正露出って何?」

<露出決定要素>
<カメラ内部露出計を使った露出決定方法>

プログラムオート(P):カメラが絞りとシャッタースピードを自動で設定する。

主に入門機では「ピクチャーモード」など、被写体に合った絞りとシャッターの組み合わせをカメラが自動的に設定するモードが用意されています。

絞り優先AE(A)(AV):自分で絞り値を決め、カメラがシャッタースピードを自動で設定する。

絞り値に大きく影響される被写界深度は、写真表現では最も重要な要素のひとつです。作品作りには最も適した露出決定方法と言えます。

シャッター優先AE(S)(TV):自分でシャッタースピードを決め、カメラが絞り値を自動で設定する。

プログラムオートがついているカメラならばほとんどの機種についています。高速シャッターが必要な場面で使われることが多いのですが、シャッタースピードの設定できる幅に対してレンズが対応できる絞り値の幅の方が狭いため、あまり使いやすいとは言えません。

マニュアル露出(M):自分で絞りとシャッタースピードを設定する。

商品撮影など正確な色再現を求めたい時や、見た目通りではなくハイキー調やローキー調など、意図的な露出を設定する場合に便利です。入射式露出計やスポットメータ、カメラ内蔵のスポット測光(あるいは勘ピューター?)を使用する必要が有ります。

ピントのマニュアル「M」と露出のマニュアル「M」または「MF」は全く別のもので、それぞれ独立して設定できます。混同されている方を多く見かけますので、ご注意下さい。

次ページ以降で説明する「多分割評価測光」のままでマニュアル露出設定をしている方を多く見かけますが、カメラ自身が補正を加えるこの測光方式は適切とは言えません。

マニュアル露出を使用する際は、+-の露出補正は必ず「0」にして下さい。露出計の示した数値に対して、カメラマン自身が判断をしてアンダーにしたりオーバーにしたり調整を加えましょう。そうしないと混乱する場合があります。

 
<カメラ内部露出計の種類>

カメラ内蔵の露出計には、主に「多分割評価測光(マルチパターン測光)」「中央部重点測光(中央部重点平均測光)」「スポット測光」の3種類が有ります。最近の中級以上の一眼レフカメラは、この3種類を切り替えて使えるものがほとんどです。

 一眼レフカメラの内蔵露出計は、「反射式露出計」の一種です。「反射式露出計」は反射率18%の被写体を基準に適正露出が得られるよう設計されています。ですから白っぽい被写体や黒っぽい被写体には、調整を加える必要が生じます。

反射率18%のグレー

初期の一眼レフカメラは、画面全体を18%の反射率として測る「平均測光」しか備えていませんでした。画面の端に強い光などが有ると極端に影響されることが多く、使いこなしが大変難しいものでした。

 その後、「中央部重点測光」が登場し、主たる被写体の明るさや背景の明るさに応じて1〜1.5段程度の補正を加えれば適正露出が得られるようになりました。

最近は、フィルムやデジカメのCCDが記録できる幅に出来るだけ収まるよう、自動的に補正を加味する「多分割評価測光(マルチパターン測光)」が主流になっています。画面内を3〜10分割して測光し、場合によっては空は白く飛ばしてしまうと言うことまで判断してしまいます。機種によっては被写体の色まで判断して露出を決定してくれます。(ニコンの最上位機種)見た目通りの写真を作りたいなら、カメラ任せでほとんどの場合、良い結果が得られるようになりました。
 
<露出補正>

多分割評価測光の登場で、露出補正が必要な場面は随分少なくなりました。プリント時に補正が可能なネガフィルム使用の場合は、ほとんど露出補正無しで撮影可能です。

 一方、リバーサルフィルムやデジカメを使用する場合は、きちっとした露出で撮影しておく必要があり、0.5段前後の段階露光画必要です。また、0.5段を超えるような補正が必要な場面もまだ多少あります。以下、1段程度の露出補正が必要な場面のいくつかをご紹介します。ご参考になさって下さい。