第1回感動写真ゼミナール資料

制作 有限会社松尾カメラ  寺島 秀則

テーマ:ピントの良い写真を撮ろう

  <「ピントが合っている」の定義は?>

◎一般的に、キャビネサイズ(約13×18cm)のプリントを目から30cm離してみたとき、ボケて見えなければ「ピントが合っている」と見なされます。

一般的に使用される135サイズフィルムの場合、フィルム上で0.03mmのボケの幅までが、「ピントが合っている」範囲とされています。

  このことをふまえて、ボケの幅が許容範囲を超えてしまう「ピントが悪くなる」原因を考え、対策を考えてみましょう。

<ピントが悪くなる原因と対策>

1、カメラぶれ

防ぐ方法:手持ちの場合は早いシャッターを切る

        ぶれないシャッター速度の目安は  

             1 / レンズの焦点距離mm  秒

        50mmなら60分の1秒より早いシャッター

        200mmなら250分の1秒より早いシャッター

        感度の高いフィルムを使ったり、絞りを開けたりしてシャッター速度を稼ぐ

         三脚とレリーズ(リモートスイッチ、リモコン)を使用する

         手ぶれ補正機能付きレンズを使用する(ニコン、キヤノン)

        シャッタースピード2〜3段分の補正が可能

三脚で1/15秒以下のシャッターを切る際は手ぶれ補正を切らないと、かえってぶれます

            

2、

被写体ぶれ

  防ぐ方法:早いシャッターを切る

感度の高いフィルムを使ったり、絞りを開けたりしてシャッター速度を稼ぐ

       ストロボを使用する(ストロボが届かない遠い距離は不可)

       流し撮りをする

        手持ちで、被写体を追いかけながらシャッターを切る

        何度もシャッターを切っているうちにだんだんタイミングが掴めてきます。大変高度なテクニックですが、挑戦してみて下さい。

3、焦点が合っていない(前ピン・後ピン)

  防ぐ方法:フォーカスロックを使いこなす

       目立つ場所にピントを合わせる

       視度調整をする

       マグニファイヤーを使う

     

4、レンズの色収差により滲みが出る

  防ぐ方法:アポクロマート、ED、Lなど収差補正の施されたレンズを使用する

   

補正の度合いは、レンズの価格に比例しているようです。 

5、トリミングなどにより、プリントの拡大率が大きすぎる

  防ぐ方法:トリミングしないでプリントできるように撮影する

       中判カメラ(6x45,6x6,6x7など)を使用する

  

6、風景などで手前から奥までピントが合っていない

  防ぐ方法:パンフォーカス撮影をマスターしましょう

「パンフォーカス撮影」とは、画面内に映る最も手前にある被写体から一番遠く(一般的には無限遠)までピントを合わせるための、風景写真には欠くことが出来ない撮影テクニックです。絞り込みと、ピントを合わせる位置が重要です。一般的に、広角レンズから標準レンズを使用します。

  下記の表は、パンフォーカス撮影をする際、レンズの焦点距離毎に最も効率的な絞りとピントを合わせる位置を判断するための「パンフォーカス撮影深度表」です。ご活用下さい。

大ざっぱな 135サイズ パンフォーカス撮影深度表

 

*ボケの許容量を0.033mmに設定

 

 

 

絞りf

レンズの焦点距離mm

17

20

24

28

35

40

50

 

最短目安

1.4

ピントの中心位置m

6.0

10.0

14.0

20.0

30.0

36.0

50.0

 

 

 

最短被写体距離m

3.0

5.0

7.0

10.0

15.0

18.0

25.0

 

 

約10m

2

ピントの中心位置m

4.0

6.0

10.0

12.0

20.0

25.0

40.0

 

 

 

最短被写体距離m

2.0

3.0

5.0

6.0

10.0

12.5

20.0

 

 

約5m

2.8

ピントの中心位置m

3.0

4.0

6.0

10.0

14.0

20.0

30.0

 

 

 

最短被写体距離m

1.5

2.0

3.0

5.0

7.0

10.0

15.0

 

 

約2m

4

ピントの中心位置m

2.0

3.0

4.0

6.0

10.0

12.0

20.0

 

 

 

最短被写体距離m

1.0

1.5

2.0

3.0

5.0

6.0

10.0

 

 

約1m

5.6

ピントの中心位置m

1.50

2.0

3.0

4.0

6.0

10.0

14.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.75

1.0

1.5

2.0

3.0

5.0

7.0

 

 

約50cm

8

ピントの中心位置m

1.00

1.50

2.0

3.0

4.0

6.0

10.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.50

0.75

1.0

1.5

2.0

3.0

5.0

 

 

 

11

ピントの中心位置m

0.80

1.00

1.50

2.0

3.0

4.0

6.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.40

0.50

0.75

1.0

1.5

2.0

3.0

 

 

 

16

ピントの中心位置m

0.50

0.80

1.00

1.50

2.0

3.0

4.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.25

0.40

0.50

0.75

1.0

1.5

2.0

 

 

 

22

ピントの中心位置m

0.40

0.50

0.80

1.00

1.60

2.0

3.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.20

0.25

0.40

0.50

0.80

1.0

1.5

 

 

 

32

ピントの中心位置m

0.30

0.40

0.60

0.80

1.00

1.50

2.0

 

 

 

最短被写体距離m

0.15

0.20

0.30

0.40

0.50

0.75

1.0