第1回 デジタル写真研究会 資料                    制作:有限会社松尾カメラ

テーマ:写真を大きくプリントするために(解像度、補完処理、アンシャープマスク)

  <高品質なプリントを作るために、必要な撮影時の画素数>

一般に、パソコン画面(ディスプレイ)の解像度は72ppiなので、少ない画素数で十分です。一方、写真画質(肉眼で升目が見えない細かさ)はディスプレイの4倍288ppiの画質が必要となります。どの位の画素数があればどの位のサイズの画面や写真に出来るかを示したのが次の表です。

デジタルカメラの記録画素数と写真の大きさ

画素数

画像サイズ

72ppi(ディスプレイ)

288ppi(写真画質)

80

万画素

1024

×

768

ピクセル

36

×

27

cm

9.0

×

6.8

cm

名刺サイズ相当

150

万画素

1360

×

1024

ピクセル

48

×

36

cm

12.0

×

9.0

cm

サービス版相当

300

万画素

2048

×

1536

ピクセル

72

×

54

cm

18.0

×

13.5

cm

2L版相当

600

万画素

3040

×

2016

ピクセル

107

×

71

cm

26.7

×

17.7

cm

大伸ばしプリントサイズ

800

万画素

3264

×

2448

ピクセル

115

×

86

cm

28.7

×

21.5

cm

[一口メモ]ppi:ピクセルパーインチ、1インチ(2.54cm)の中にいくつの升目が並んでいるかを表す、解像度を示す数字です。ちなみに混同して同様に使われることが多い「dpi(ドットパーインチ)」は、1インチの中にいくつの点が並ぶかを示した数字です。インクジェットプリンターなど、点で画像を印刷する場合、4色インクの印刷機なら1ピクセル当たり4ヶのドットを必要とします。つまり288ppiの画質を表現するためには、1152dpi以上の性能を持ったプリンターが必要ということになります。なお、写真店で行っている印画紙プリントは、300ppiの画質を確保しています。

それぞれのデジカメは、画素数を変えることが出来ます。大きい方から「ラージ(L)、ミディアム(M)、スモール(S)」とか「5M、3M、1M」といった表示がされます。

画像ファイルを小さくするのに、圧縮という方法があります。画像をそのまましまうと場所をとるので4分の1とか16分の1に畳んで場所を節約することが出来ます。ただし、実際に画像を見る時に開く際、小さく畳んだものはそれなりに画質が劣化してしまいます。ほとんどのデジカメはJPEG(ジェイペグ)と言う形式を用いています。メーカーにより圧縮率の呼び方はいろいろですが、綺麗な順から「スーパーファイン、ファイン、ノーマル、ベーシック」などの段階が設けられています。

 

インターネットなど通信目的の場合は別として、一般的に「ラージ+スーパーファイン」など、より綺麗なモードでの撮影をお奨めします。大きいものを小さくしても問題ないけれど、小さいものを大きくすると荒れてしまい使い物にならなくなるからです。「大は小を兼ねる」のです。

<カメラの画素数で得られるサイズより更に拡大プリントするためのデジタル画像補完処理>

フィルムの場合、小さいサイズのフィルムから拡大プリントする場合、フィルムの粒子がそのまま拡大されてプリントに反映されます。

一方デジタルの場合、「粒子」に相当するものが「ピクセル(pixel:升目)」です。

そのまま拡大すると升目が反映されてギザギザになってしまいますが、一般的な画像処理ソフト(アドビPhotoShopエレメントなど)を使って、バイキュービック法などの補完処理を行うことによって、滑らかに拡大することが可能です。

更に、シャープネス処理を施すことにより、ピントの甘さもある程度おさえることができます。

 

<プリントのためのシャープネス処理には「アンシャープマスク」を使用しましょう>

「アンシャープマスク」は、以下の3つの要素をコントロールして、写真毎に最適なシャープネス処理を施すためのツールです。

量:「〜%」、コントラストを強める量 光沢印画紙などコントラストがはっきりするプリンターの場合は70〜80%、マットインクジェット専用紙など、軟らかい調子の紙に印刷する場合は100〜150%が適当かと思います。

半径:「〜pixel」、コントラストを強くする幅  PhotoShopなどのソフトでズームアップして見て、最もピントが合っている部分のボケの幅(pixel数)にするのが適当です。

しきい値:「〜レベル」、肌など滑らかに表現したい部分がざらざらにならない様にするため、コントラストの弱い部分にシャープネス処理を施さない様にするための制限値 1〜5位の範囲で、被写体に応じて適当に調整しましょう。

*画像処理を施す場合、1,プリントサイズに併せたトリミングや拡大処理、2,色調補正、覆い焼き処理などの画像処理、3,シャープネス処理の純で行うと、画像の劣化を最小限にとどめることができます。